まさか、二ノ宮が知ってくれていたとは思わず、私は嬉しくなって目尻を下げた。

そう。私はやはり支える側の人間になりたくて、兄の勧めもあり、スポーツトレーナーを目指すことにしたのだ。


「うん。そうなんだ。狭き門だけど頑張ってみようと思って。二ノ宮もおめでとう。スカウト決まって良かったね」

「桃原のおかげだよ」


告げられて、胸がいっぱいになる。

だから、私はただ頭を振ってそんなことないよと伝えた。

すると、二ノ宮はふと真面目な顔つきになる。


「……あの頃の俺は、身勝手だったと思う。桃原にキスして、無責任に付き合おうとか言って。結局、桃原に無理させて、不安にもさせてた」


本当にごめん。

続けて謝られて、私は焦り否定する。


「身勝手なのも無責任だったのも、全部私にも言えることだよ。だから謝らないで。私は後悔もしてないんだから」


伝えると、二ノ宮は目を細めた。