土の上に降り積もった楓の葉。

赤や黄色に彩られた秋色の波打ち際を、彼の長い足が、私の歩調に合わせてゆっくりと踏みしめていく。

中庭を抜けるまでに、何人もの友人たちが私たちの繋いでいる手を見ては驚いた。

二ノ宮は困ったように笑っていて、私も同じような顔して笑って。

こそばゆい感覚を持ちながら、私たちは食べ物の模擬店が並ぶ校庭へ向かう。

その道すがら、白い包帯の巻かれた二ノ宮の右腕に視線をやった。


「怪我、利き手だから大変だよね」


こんな怪我で試合に出て、よくあれだけ動けていられたなと感心しつつ声にすれば、二ノ宮は少し考えた素振りを見せてから口元に笑みを浮かべる。


「そこはバスケの賜物でさ。普段から両利き意識してるだろ。だから、そんなに大変ではないかな」


聞いて、なるほどと納得した。

バスケ選手は利き手ではない方も器用でなければならないので、普段からご飯は利き手とは反対の手で食べることなどして過ごしているのだ。

二ノ宮は小学生の頃からバスケをしていたし、最早両利きのレベルに近い。