「いいえ。二ノ宮がバスケを続けられるだけでも、みんなにまた受け入れてもらえただけでも十分です」


本来なら掟を破っていた時点で2人とも退部なのに、二ノ宮は残れるのだ。

ワガママなんて言えない。

言えない……けれど。

もしも、ひとつだけみんなに甘えることができるなら。


「あの、最後にお願いがあるんですけど」

「何?」

「実は、ずっとしたかったことがあって」


ひとつだけ。

どうか、それを許してください。


静かに耳を傾けていた部長は、私の願いを聞いて優しい笑みを浮かべた。


「わかった。みんなにも、邪魔しないように伝えておく」

「ありがとうございます」


頭をしっかりと下げる。

もうすぐ訪れる、別れの刻を思いながら。