「ありがとう。それで、みんなの意見を要約すると、今回のことで、どれだけ桃原さんが真剣に二ノ宮や部のことを考えてるかがわかったって。怪我までする結果になっても、三輪を責めない二ノ宮にも、みんな心を動かされた」


三輪でさえも。

部長はそう言うと、私を真剣な表情で見つめる。


「結論を言うね。二ノ宮は退部にはならない。君が別れを覚悟してまで尽くすなら、その気持ちに応えてみんなも前向きにやっていこうってなった。ただ、掟はやっぱりあるべきだという意見が多かったんだ。というより、恋愛で揉めるなら、今後は女子のマネージャーをとらないことに決まった」


これで、全員が納得できた。

聞かされて、体から力が抜けるほど、深く深く安堵する。


「よ、良かった……」


二ノ宮が、またみんなと前を向いてバスケができる。

じわりと、胸の奥が熱くなって。

私は思わず膝を抱えるようにしゃがみ込む。

すると、部長もまた私と目を合わせるようにしゃがみ込んで……


「本当は、三輪のことでみんなの心が動いた今なら、せめて別れなくても済むかなと思ったんだけど、過去からずっと掟に従ってきた部員たちのことを考えたら、みんなにいいよね、なんて言えなかった」


別れなくていいよとはいえずに、ごめん。

一条部長はまた謝罪を口にして、私もまた頭を振る。