覚悟、したはずなのに。

プラスの恋だと思えるのに。


「弱いなぁ」


零すように自嘲したと同時。

開いていた扉から、一条部長が入ってきた。

そして、辺りを見回して、私を見つけると。


「桃原さん」


おいでと手招きをされる。


「は、はい」


何か手伝うことでもあるのかと、小走りで階段を降りて部長に駆け寄った。

着替えに戻ったはずの部長は、まだユニフォーム姿だ。


「ごめんね。実は今まで、部室でみんなと話し合いしたんだけど……」

「話し合い、ですか?」


反省会ではなく、話し合いと口にしたことに首を傾げる。


「うん。二ノ宮の今後のことをね。あの様子じゃ、ウインターカップがどうなるかわからないしね……。で、万が一の時はどうしていくかって悩んでたら、三輪が全部話してくれてさ」

「全部って……」

「君が今日、三輪に襲われそうになったことと、君を助けた二ノ宮に怪我をさせたのも、彼だってこと」

「あ……」

「圭介からゲンコツもらってたよ」


苦笑いしながら教えてくれた様子は想像に容易いもので、私も力なく笑ってしまった。