三輪君の瞳が、じわりと揺らぐ。

それが涙だとわかっていても、誰もからかうものはいなかった。


「三輪、いけるか?」


監督の声に、三輪君は唇を引き結ぶ。

そして。


「はいっ」


強く、確かに頷いたその瞳は、真っ直ぐで。

二ノ宮と私は、視線を合わせて微笑み合った。

䋝田先輩もニッと満足げに笑みを浮かべると、三輪君の背中をバシッと叩く。


「よっしゃ、円陣! 最高のプレーで文化祭、盛り上げてくぞ!」


二ノ宮も、私も、三輪君も。

みんながひとつの円を作って、気合の入った声を上げる。


うん。

きっともう、大丈夫。

三輪君と二ノ宮の関係は、少しずつ良くなるだろう。

生き生きとコートで活躍する三輪君。

彼がこんなにも素敵なプレイをするのだと知り、自然と頬が緩んで。

嬉しくて、嬉しくて。

ポロリ、零れ落ちた涙を手の甲で拭って。

私は、声を張り上げて応援した。

静かに微笑み、三輪君の成長を見守る二ノ宮の隣で。