その瞳は不安に揺れていて、私は体を震わせつつも体を起こし頷く。

すると、安心したように肩を下ろして。

けれどすぐにまた表情を固くして、私たちから少し離れた場所に立ち尽くす三輪君を見上げた。

三輪君の視線は私たちを捉えてはおらず、足元に落とされている。

二ノ宮は怒りを滲ませた表情で、唇を開いた。


「俺に腹立ててんなら桃原は関係ないだろ。卑怯なことするな」


言われて、三輪君は握った拳を震わせる。


「あんたにはわかんないよ! わかるわけない……わかるわけがない!」


声を荒げ、瞳を揺らし、三輪君はわからないと繰り返した。

そして──


「何で……あんたばっかり欲しいものいっぱい手に入れて……」


泣き出しそうな声で気持ちを吐露していく。


「あんたさえいなければ、僕は楽しくやれてたのに」


望んでいた今があったのだと、悔しそうに話し、やがて室内に沈黙が降りた。