ウインターカップに向けての練習を重ねる日々の中、あっという間に文化祭初日がやってきた。

雲ひとつない快晴に恵まれ、生徒たちのテンションも朝から上々といった雰囲気。

私もその空気につられて笑みを浮かべることはあれど、心は他クラスで文化祭準備をしているであろう彼氏に向かっていた。

電話口で衝突してしまった二ノ宮とは、以来普段どおりに接しているけれど、どこかぎこない……というか、踏み込んだ話題を口に出さないように互いが気を使っているような状態だ。

自分の言葉のかけ方が悪かったのが原因。

だから、心の距離を感じずにはいられない今の2人の状況に溜め息は零れてしまうけれど、別れるなら、これでいいのかもと思う。

私と気まずくなったというしこりがあれば、別れを告げられても納得しやすいだろうから。

仕方ないと、二ノ宮の気持ちをバスケに、その先にある自分の目標に真っ直ぐ向けられれば、私としては満足だ。

涙を流すだろう私も、どうにもならなかったのだと言い訳に逃げることができる。

……なんて、自分のクラスの出店を廊下から眺めつつずるいことを考えてしまっていた私の肩を、廊下の向こうからやってきた柑菜が叩く。