『……支え合ってるよ』


まだ少し冷たさの残る声で言われて、私は頷いた。


「うん……でも、どこかムキになってしまってると思う」


思い悩んで、視野が狭くなっているのが、苛立つ二ノ宮の態度でわかる。


『ムキにもなるよ。別れたくないし、バスケだって続けたいんだ。当然だろ……』


深い、深い溜め息が聴こえて、私はそっと、瞼を伏せた。

いつだか䋝田先輩が言っていた。

恋愛フィルターが、見えなくさせてしまうという話。

それは、今の二ノ宮にも言えるだろう。

恋を守る為に、夢を叶える為に、見えなくなってるのだ。

今まで上手く築いてきた仲間との関わり方。

それが、恋愛のせいでうまくいかなくなってる。

一条部長はウインターカップが終わるまで待ってくれと言っていたけれど、もしかしたら早く解放してあげた方がいいのかもしれない。

当然、二ノ宮は納得いかないだろうし、傷つけてしまうとも思うけれど……

今まで、言い合いなんてしたことなかった私たちが、こんな風にぶつかっているのだ。

別れたくは、ないけれど。

二ノ宮が前を向く為に必要なら、頑張れる。