「ごめんね」と部長に謝られて。

私はそこでようやく微笑した。


「こちらこそ、迷惑かけてごめんなさい」


その言葉を告げると、チャイムが鳴り響く。

私は部長に促され、バッシュを手渡した。


「とりあえず、これは任せて。退部の話は必要になるまで俺と君の中だけに留めておこう」


いいかな? と、問われて、ちりちりと痛むような胸に手をそっと添えて、頷いた。


私が二ノ宮の彼女でいられるのは、次の大会が終わるまで。

初戦で敗退した場合は、2ヶ月もない。

それまで、私は踏ん張ってみせよう。

彼の夢を、未来に繋げるために。