「でも、このままじゃ二ノ宮は……」

「大丈夫。二ノ宮は必ず残す。俺はもちろん、圭介や結城にもサポートしてもらって、部のみんなにもわかってもらえるように話し合いしながらやっていく」


でも、時期は待って欲しい。

一条部長は少し切羽詰まったような声で話を続けた。


「これは俺のワガママで申し訳ないんだけど、別れるのも退部するのも、ウインターカップが終わるまで待って欲しいんだ」


今年はいい選手が揃ってるし、三輪君たちにもどうにか納得してもらうからと約束してくれる。


君の覚悟を、ちゃんと伝えるよ。

そして、その時が来たら二ノ宮を支える。

彼が前を向いていられるように、と。


──こくり。

私が小さく頷くと、部長は労わるように微笑んで。


「君は、本当に二ノ宮のことが大事で、好きなんだね」


私はまた首を縦に振る。


「……はい、誰よりも」


自分よりも、大切だから。

優先させるべきは私の想いじゃなく、彼の未来。