「バラした子が、彼氏のこと目の敵にしてるから、なんだかもう……部の雰囲気も、最悪なんだ」


手のひらの上に乗ったシュークリームを眺めながら今の状況を話し切ると、ふたつ目のシュークリームを手にした兄がソファーの上で胡座をかく。


「まあ……詳しいことはよくわかんねえけどさ、美羽はどうしたい?」

「……わかんない。頑張っていい方向に変わるなら頑張りたい。でも、みんなを困らせたくはないし、彼の為にならないなら……別れなきゃ、ならないのかなって」


最後のそれは、二ノ宮にもきちんと話したことのない本音。

二ノ宮に言えば、俺の為に犠牲になるとかやめてと言われるだろうと、予想できるから。

だから彼には話したことはない本心だ。

いつか考えたことのある、もしもの場合に、私がとるべき選択肢。

……辞めるだけではみんなが納得しないのなら。

二ノ宮が夢を追うことができるなら。

私は、それを選ばなければならない。

例え、二ノ宮にひどい奴だと思われても。

けれど、その時を想像するだけで、こんなにも苦しくて胸が痛い。