二ノ宮の回答を聞いた䋝田先輩が、わざとらしく頭を振る。


「そうやってお前は好感度を上げていくわけか」


二ノ宮は䋝田先輩の言葉には返事をせず、ただニッと口角をあげただけ。

「確信犯め」なんて、捨て台詞のように吐いた䋝田先輩は、部長と別の話をし始めて、この話題は終わった。

後方からは、結城が楽しそうに後輩と絡んでる声がする。

緩やかな坂を歩きながら、二ノ宮と今日の試合のことを振り返りながら話した。

もっと積極的にシュートに持っていけば点数はもう少し開けたかも、とか。

あの土壇場でスリーポイント決めた部長は凄い、とか。

二ノ宮は本当にバスケが好きなんだなあと感じていたら、ふと、彼が話題を変えてきた。


「そういえば、来月は修学旅行だな」

「あ、うん。楽しみだね」


頷きながら、来月末に予定されている2年生の修学旅行の事を思い出す。

行き先は沖縄で、三泊四日の旅だ。

担任からの話では、マリンスポーツを体験したり、文化を学んだり、世界遺産を巡ったりと盛りだくさんの旅行となるらしい。

楽しみにしている生徒は多く、もちろん私もその中の1人だ。

残念なのは二ノ宮とクラスが違うこと。

集合写真に一緒にうつるとか、同じクラスならではのことができない。

仕方ないんだけど、やっぱり好きな人の近くにはいたいのが乙女ゴコロというやつなのだ。