やはり、というべきか。

夏休みのあの日から、ある程度予想はしていたんだろう。

一条部長は私たちを見ても特に驚きもせず、一緒に来ていたらしい背後に立つ䋝田先輩に声をかけた。


「圭介、誰か来たら教えて」

「へいへい、リョーカイ」

少し面倒そうに答えた䋝田先輩は、チラリと私たちを見たけれど呆れているのか何も言わず、部長が倉庫に足を踏み入れるのを確認すると扉を閉めた。


「とりあえず2人とも離れてくれる? 話はそれから」


腕を組んだ一条部長に言われ、二ノ宮は私を抱き締めている腕から力を抜いて緩める。

私も部長の指示に従い彼の膝から降りて、2人並んで正座した。

そうしろとは言われてないけれど、空気がそうしなければいけない感じだったのだ。

冷たい床の上に座り、無言で俯く私たちに、部長はまた溜め息を吐く。


「まずは確認。いつから付き合ってる?」


……ダメだ。

ここでいつから、なんて。

話してはいけない。

明かしてはいけない。

だって、ここで正直に話すということは、掟によって私たちの関係が終わってしまうということだ。