長い柄を操り、ゴミを集めていると、隅の方に見覚えのあるスナック菓子の袋を見つけた。

中身が空となっているそれを拾い上げ、私はロッカーと向き合う結城に声をかける。


「結城、これ、昨日結城が食べてたやつでしょ」


軽く目を細めて確認すると、振り向いた結城は苦笑しながら「あー、ごめーん」と謝った。

その手はロッカー内から零れ落ちそうな私物たちを押さえている。

結城のロッカーは色々なものが詰め込まれていてお世辞にも綺麗とは言えない……と、濁すのもどうかと思うほど汚い。

「こんなもんかな」なんて金属音と共に扉を閉めたけど、見れば今も扉から服がはみ出している。

そんな結城のロッカーの隣は二ノ宮が使っていて、手際良く整頓中だ。

後ろ姿もカッコイイな、なんてキュンとしながら見つめていたら、視線に気づいたのか二ノ宮がこちらを向いた。

トクン、と胸が高鳴ると同時、彼は優しい微笑みを浮かべる。


「そっち手伝おうか?」

「ううん、大丈夫。ありがとう」


彼の気遣いに頬を緩めて首を振ると、私たちの様子をニコニコ笑顔で観察している一条部長と目が合った。

怪しまれたらやばいので、愛想笑いを浮かべてそっと視線を外す。

部長はあのお泊まりの日以来、私と二ノ宮の事を疑っているようで、こうして話したりするだけで意味深な笑顔を向けてくるのだ。

それは、もしかしたら、すでに私たちが付き合っているのを確信してるのではと思えるようなもので、居心地が悪くて仕方がない。