「そっかー。でも美羽、ずっと片想いしてたもんね。おめでとう」

「ありがとう……」


そう、なんだよね。

今、想い合えてることも、唇を重ねられていることも、片想いをしていた頃の私からすれば奇跡の展開と言っても過言ではない。

二ノ宮を好きになったのは、いつからだったろう。

いつのまにか、心に入り込んでいて、気づいたら好きになってたけど……


『それ、俺にもやり方教えて』


多分、慣れないマネージャーの仕事を彼が優しく励ましてくれたり、手伝ってくれたのがきっかけだった。

落ち込んでいれば、ジュースおごってくれたり、くだらない話で笑わせてくれたり。

二ノ宮の思いやりを感じるたびに、少しずつ、想いが膨らんでいって……

気づけば、彼のことばかりを目で追っていた。

ああ、彼のことが好きだなと自覚した時、どうしようもなく胸が苦しくなったのは、恋の切なさだけではなく、部の掟があるからで。

それは今も変わらず私と二ノ宮を悩ませているけれど……

やっぱり、片想いしていた時に比べたら幸せな悩みなんだろう。