ああ、このタオルケットからもほのかに彼の香りがする。

柔軟剤なのかななんて考えていたら、階段を上がる音が聞こえてきた。

やがて、髪の毛を乾かしながら部屋に入ってきた二ノ宮は、寝転がる私を見て言った。


「俺が布団に寝るから、桃原はベッドで寝ていいよ」


促されて、けれど私は、それは申し訳ないからと断ったのだ。

で、二ノ宮は私が布団で寝ることになったのを気にしながらもベッドに腰掛けて……というのが、ついさっきまでの流れ。

そして、なぜ今心臓がお祭り状態になっているかというと。


「あのさ桃原、寂しいからそっち、ちょっと行ってもいい?」


二ノ宮が、そんなことを言い出したからだ。

寂しいだなんて言ってるけど、その割には楽しそうな笑顔で私を見下ろしている。


「さ、寂しいの?」

「うん、桃原の温もりがなくて」


やはり笑みを浮かべながら答えて、二ノ宮は再度「いい?」と尋ねた。

……ダメなわけない。

好きな人と寄り添えるのはとても幸せな気持ちになれるから。

ただ、この後の展開が予想できなくて……というか、やっぱり恋人展開になるのではと戸惑うのは確かだ。