「女の子なら可愛いですね。私にも姪がいるけど、オシャマで口達者で、時々私が負けちゃいます」


姉にソックリな性格だから…と言い訳すれば、そこから少しの間、家族の話題になった。
兄と姉のいる末っ子だと話せば、長女かと思ってたと課長は言いだし、しっかりしてるね…と感心された。


「上の二人を甘やかし過ぎたと反省した両親のお陰でしょうか。我儘とか言えない環境で育ちましたから」


「普通は末っ子が一番の我儘だと聞くけど、横山さん家は反対なんだね」


ざっくばらんに話してくる課長は、自分の娘も同じように育って欲しいと囁く。


「だけど、祖父母が甘くってね」


そう言いながら自分もなかなか強く出れない…と耳の後ろを掻いてる。

課長とこんな話ができるなんて思わず、そうなんですか…と納得しながら切なくなった。


ドアの外から誰かが歩いてくる足音が聞こえ、では…と話を止めて仕事の準備を始めた。

課長の視線は直ぐに机上の書類に戻り、私が入ってくる前からしてたと思われる仕事を再開してる。