好きな人が現れても……

キッパリと言い切る紺野君の声に胸が痛む。
目線を紺野君に戻したら、切なそうに表情を歪めた。


「無理だと思うよ。妻に先立たれるって、男にとって大分ハードなことなんだよ。
ちょっとやそっとじゃ立ち直れない。横山の思う男がどんな奴かは知らねえけど、大抵の男はグズグズになるんじゃねえか?」


部長と同じ言葉を言ってる。
だけど、課長はグズグズでもない。


「そうかな。少なくとも私が見てる限り、その人はグズってはないよ。
ビックリするくらい頑張ってるし、感心するくらい気を張ってる。
そういう人だからいいな…とも思うし、自分が彼の役に立ちたいな…とも思わせる」


何も出来ないんだけどね…と微笑み、でも、力になりたい…と決意を語った。


「言ってみようと思うのか?自分の気持ち」


向かい側の紺野君に聞かれ、ううん…と首を横に振る。


「それが出来たら悩みはしないし、眉間にシワも寄せたりしないよ。
私は自分にその勇気が出ないのがツラいの。力になりたいけど、拒否されるのも怖い」


必要ない…と言われたら、私の恋は終わってしまう。