ガヤガヤと賑やかな店内で、私は紺野君と向かい合わせに座り、お互いが頼んだ飲み物を前にしながら、今日も暑かったなーとか、忙しかったね…と話したりした。

紺野君は待ち合わせのコンビニで会った時、既にネクタイは外してワイシャツの襟元も緩めてた。
リラックスしてる雰囲気が彼らしくて、つい口元が綻んでしまった。


今もお通しの塩キャベツを摘み、ウマ〜ッ!と言いながらビールを煽ってる。
相変わらずだなぁ…と呆れるように見てたら、横山も食べろよ…とお通しの皿を差し向けてきた。


「言われずとも食べるから」


キャベツを箸で摘み上げて口に入れ、シャリシャリとした食感を楽しむ。
単純に飲みに来ただけではなかったんだと思い出し、「あのね…」と切り出した。


「ちょっと聞くんだけど、親睦会の時にうちの課の杏梨ちゃんとは話した?」


勤務中確認しておけば良かったけど、金曜日ということもあり、何かと仕事が押し迫ってて聞けなかった。


「杏梨ちゃん?」


誰のことか分からないみたい。
ほら、こういう髪型の子…とジェスチャーで説明して、フルネームも教えた。