自分にとってはどうでもいいことを思い出して聞き返すと、紺野君は口に出すなと囁く。

肩を竦めて呆れ返り、「だから、それがどうしたって言うの?!」と投げ掛けた。


「あの時言ったろ。横山に何かあれば今度は俺が相談に乗るって」


「そうだったっけ?……でも、別に乗って貰わなくてもいいよ」


有難いけど気持ちだけで結構です、と断り、横を縫って進もうとするのを阻まれる。

何よもう…という目で見れば、紺野君は真面目な顔で、「とにかく今夜一緒に飲もう」と誘う。

親睦会の時に彼に早いピッチで付き合わされたことが一瞬頭の中を過り、どうしようか…と迷った。


「いいだろ。同期のよしみで」


よしみって言う程、普段は触れ合いも何もない。
第一、私は彼に相談したいとも思ってないのに。


「決まりな。じゃあ七時に駅前のコンビニで待ち合わせようぜ」


勝手に時間と場所を決めて逃げようとする。

待ってよ!と言う言葉も聞かず、廊下の先を歩いてる営業部の先輩を見つけて走り寄ってしまった。