課長との接点は転属されて直ぐはあまりなかった。

仕事を教えてくれるのは女子の先輩で、統括的な仕事をしてる課長は、時々分からないことはないか…と聞いてくる程度。


無駄口も冗談も叩かない人だから、先輩たちの言う通り、真面目な人なんだな…という印象だった。


課長は家庭の事情とかで、飲み会にも殆ど参加をしない。

そういうのもあって、中には付き合いが悪いんだ…と言ったり、奥さんの心が狭い…と言うような同僚もいたりする。


家庭的でいい旦那さんじゃないの…と笑って聞いてはいたけど、一緒に話してみたいな…とも思ってた。



そんな課長と初めて接点を持ったのは年末近くになってから。

珍しく忘年会に参加していて、お酌をしに寄って行った時だ。




『課長、お疲れ様です』


ビール瓶を傾けると、ああ横山さんか…と言われてグラスを差し出された。

それにビールを注いでいると、いつも遅くまで頑張ってるね…と微笑まれ、見てくれていたんだと思い、嬉しくなった。


彼氏のいない私は、同僚や先輩がデートのある日なんかに仕事を代わって引き受けてた。