手を合わせて謝るのを見て、自分もセーブすれば良かったんです…と反省する。
私達はお互いに少し黙ってカフェオレを飲み込み、一息を吐いたところで相川さんがボソッと聞いた。



「葉月って、課長のことが好きとか？」


ビクンと背筋が伸び切るような質問に驚いて目を向ける。
喜怒哀楽の出難い顔をしてたらしく、相川さんは、「いいわ。別に答えなくても」と言ってきた。


「どうせ、あの人ずっと奥さんのことしか思わないだろうし、例えば葉月じゃなくても、他の人が彼を好きだと言っても、その気持ちには答えないだろうと思うから」


ズキンと胸の痛む言葉を前に、下を向いてぎゅっと唇を噛みしめる。

相川さんはカフェオレを飲み込んで目線を横に投げ掛け、物憂げな感じで囁いてた。



「……どんなに好きになっても、伝えられない思いってあるわよね……」


その言葉はやけに確信めいてて、変に力の籠るものを感じたから、思わず顔を見てしまった。

私の視線に気付いた相川さんは、こっちに目を向け直して、「一般論として聞いた言葉を言ったまでよ」と教えてくれた。