相川さんはスティックシュガーの袋を指先で千切りながら、まどろっこしく聞くのは嫌だから単刀直入に聞くわね…と言ってきた。



「どうしたの、その目。泣き腫らして真っ赤もいい所じゃない。もしかして失恋でもしたの?そうでなければ上司にこっ酷く叱られた?」


カフェオレよ…と白いカップを差し向けられる。
すみませんの気持ちで頭を下げ、何をどう説明すればいいのかと思考を彷徨わせた。



「あ……」


その前に、金曜日のことを謝っておかないと。


「すみませんでした。金曜日はお手数をおかけして」


急にタクシーで送られたことを思い出して、お世話になりました…とお礼を言った。

相川さんは、そんな過ぎたことはどうでもいいから…と鬱陶しそうに答え、涙のワケを早く教えてと再度願う。


「……端的に言うと、失恋なんでしょうか?」


「それを私に聞いてどうするのよ。葉月自身のことなんでしょう?」


聞き返されて、そうだけど…と思い直す。