大人な相川さんの対応に感謝して甘える。

彼女になら自分の気持ちを正直に話しても受け止めて貰えるかもしれない。

課長の奥さんの話を聞いて大いに動揺してしまったことを語り、これからどういう風に自分の気持ちを切り替えていけばいいのかを訊ねてみたい。

私の一方通行な思いが成就することはないのだとしたら、どうやれば素早く思いが断ち切れるのかが知りたい。


しっとりと濡れてしまったハンカチの借り主を思い出しながらぼうっと服を着替えた後で、私達はオフィス近くにあるカフェへと足を運んだ。



店に入ると相川さんは私に、なるべく目立たない席に行って座ってなさいと言ってくれた。
泣き腫らした顔で注文受付のカウンターに立つのも恥ずかしかったから、丁度いいかと思い任せた。


トボトボと歩いて大きなテーブルヤシの鉢の側の席に座り込む。

外から入って来るお客さんには私の背中がヤシの陰に隠れて見えない位置で、注文した商品を手に持って来た相川さんは、「いい所に座ったわね」と褒めてくれた。

それに特別嬉しくもない顔で頷き、また首を項垂れる。