午後一時近くになり、庶務課のドアを開けてその人が入ってくる。


ノリの効いた白いワイシャツが眩しいくらいに光って見える。

半袖に変わったばかりの腕は白くて、毛深くもないところが気に入ってる。


腕の太さの割に手のひらが大きいな…とか、手首の太さが男らしくて好きだな…とか。

最初は体フェチかと自分をツッコんでみたりしてたけど、最近はそうじゃないなと思ってる。


じっくり見てるうちに、その人の性格や仕草までもいいなぁ…と思いだした。

真面目に仕事してるところも、砕けた言い方をするところも素敵だな…て。

ついでに美味しそうな弁当を無言で食べ尽くしてるところも好きだよ…て。


振り返って見て貰える訳でもないのに、目で追いかけることが止められない。

片思いの相手は、さっきのお弁当が話題になってた庶務課の課長。


野村貴大(のむら たかひろ)さんといって、年齢は三十四歳だと聞いてる。


配属された当初から仕事の捌ける男だと先輩たちから聞かされた。

真面目過ぎるところがたまに傷だけど、優しくて爽やかでいいよねーと言い合ってた。