翌朝目覚めるときちんとベッドの中で眠っていた。
起き上がると服を着ているままで、何故に?と思いながら足を下ろす。

ベッド前に置いてるローテーブルの上にはメモがあり、女性らしい達筆でこう書かれてあった。


『タクシーの中で眠り込んで大変だったわよ。次からは程々に飲むようにしてね。相川』


部屋の鍵が隣に置いてあった。
オートロックのマンションだから、外からドアを閉めれば開かない。

すっかりお世話をかけてしまったようで、週末が明けたらお詫びを言いに行かないと…と思った。

二日酔いはその日の夕方になって良くなり始めた。
やっと頭重からも解放されて、何かを食べようかという気にもなる。

だけど、冷蔵庫の中は空っぽに近い。
ある物といえばキューリの浅漬けくらいのものだ。


「……買い物にでも行こう」


Tシャツとゆったりしたパンツに着替えて部屋を出ると、初夏の夕暮れは蒸し暑くて、一雨降りそうな雰囲気。


歩きながら親睦会で自分は一体何を言ったんだろうかと思い出してた。
課長と部長の会話に首を突っ込み、何かを話したような気がするんだけど思い出せない。