あれからゆっくりと時間は流れだし、涼し過ぎる秋風の舞う日、私は彼と教会に居た。


チャペルの椅子に並んで座ってる中、ウエディングマーチが鳴り響く。

いよいよですよ…と声をかける私に、彼はうん…と頷きながら、カメラの録画をスタートさせる。

新婦の父親と新婦が開かれた扉の向こうから現れ、参列者たちは揃って息を飲むような気配を感じた。


衣擦れの音がする中を二人の少女が緊張気味に新婦の後を付いて歩く。

少し背の高い少女は俯き加減で、もう一人の子はしっかりと新婦の背中を見つめてる。


二人とも手には真っ白いブーケを握りしめ、お互いに自分達で選んだドレスを着ていた。



「真央…」


彼の呼び声に振り返り、名前を呼ばれた少女が目元を垂らして微笑む。


(可愛い!)


彼の背中越しに彼女を見てた私は、その笑顔を逃すまいとカメラに収めた。


新郎の手に託された新婦は少しだけ微笑み、二人揃って神父様の前で愛の言葉を宣言する。


私はその様子を見つめながら、数年前に同じことをしたであろう彼のことを思った。