胸の奥にあの夜の光景が思い出された。

マンションへ続く階段を上がりながら、真央を抱いた彼女が『課長も歩いて下さい』と願った……。




「…ああ。一歩ずつ進んで行こうか」


階段を上るように少しずつでいいのだ。

お互いのことをもっと深く知るように、絆を深めて行けばいい。

長い時間を一歩ずつ進んで、永遠に続く愛を刻んでいこう……。



コクン…と頷いた彼女と深いキスを交わした。

握り合った手の温もりは、尊い命の大切さを、しみじみと俺に感じさせたーーー。