彼の言葉を言い直すと、フッと笑って「そう。俺の住んでる部屋」と教える。
大きなゴムの木とスタンディングピアノがある部屋を思い出し、ドクン…と胸が弾んだ。
「あ…でも、真央ちゃんは?」
彼の子供のことが気になった。
課長はああ…と声を出し、実家にいるから大丈夫…と答えた。
「今はあの子の居ない所で話したいんだ」
いいか?と真っ直ぐな目で問われ、涙も急に引っ込んでしまう。
まさか誘われるなんて思わなかったから、驚いて声も出せない。
いいのだろうか…と自問した。
だけど、彼の話をじっくり聞きたいのは確か。
課長の言うことを全部聞いて、胸の中に収めておきたい。
「…分かりました。私も課長のことを全部知りたいから聞かせて下さい」
全部知りたいなんて大胆な発言だった。
言った側から背中に冷や汗を感じて、思わず肩を竦めた。
「うん…。じゃあ行こう」
手を握ったまま駅に向かう課長の歩調に合わせて歩く。
やっと彼の隣に立てた。
この奇跡がずっと続いていって欲しいと願いながら、握られた手をぎゅっと握り返したーーー。
大きなゴムの木とスタンディングピアノがある部屋を思い出し、ドクン…と胸が弾んだ。
「あ…でも、真央ちゃんは?」
彼の子供のことが気になった。
課長はああ…と声を出し、実家にいるから大丈夫…と答えた。
「今はあの子の居ない所で話したいんだ」
いいか?と真っ直ぐな目で問われ、涙も急に引っ込んでしまう。
まさか誘われるなんて思わなかったから、驚いて声も出せない。
いいのだろうか…と自問した。
だけど、彼の話をじっくり聞きたいのは確か。
課長の言うことを全部聞いて、胸の中に収めておきたい。
「…分かりました。私も課長のことを全部知りたいから聞かせて下さい」
全部知りたいなんて大胆な発言だった。
言った側から背中に冷や汗を感じて、思わず肩を竦めた。
「うん…。じゃあ行こう」
手を握ったまま駅に向かう課長の歩調に合わせて歩く。
やっと彼の隣に立てた。
この奇跡がずっと続いていって欲しいと願いながら、握られた手をぎゅっと握り返したーーー。

