「どうなんすっか。課長」
詰め寄ろうとする紺野君を止めようとした。
だけど、制されてそのまま後ろ手に隠された。
「……譲れないよ」
私の前に立ちはだかる課長の声がハッキリと聞こえた。
その声に背中を見上げ、瞬きをするのも忘れた。
「彼女は譲れない。紺野に譲ったら俺はまた一人にされる。そんなのは二度とご免だ。好きな人と別れるのは、一度きりでいい」
きっぱりと言い切ると、悪い…と紺野君に謝ってる。
私は信じられずにただ虚ろな感じでその声を聞き取り、ぎゅっと強くワイシャツを握りしめた。
「…だってさ、横山。しっかり聞いてたか」
あっけらかんとした紺野君の声が聞こえ、驚いたけど嬉しさも混ざり合って目が潤み始めた。
「良かったな。お前の気持ち、ちゃんと課長に届いてて…」
語尾が震えて聞こえ、紺野君の気持ちを考えると余計に言葉が出てこない。
無言でコクッと頷いたら、課長の背中に額が当たった。
そのまま温もりを感じて、頭を項垂れたままでいた。
詰め寄ろうとする紺野君を止めようとした。
だけど、制されてそのまま後ろ手に隠された。
「……譲れないよ」
私の前に立ちはだかる課長の声がハッキリと聞こえた。
その声に背中を見上げ、瞬きをするのも忘れた。
「彼女は譲れない。紺野に譲ったら俺はまた一人にされる。そんなのは二度とご免だ。好きな人と別れるのは、一度きりでいい」
きっぱりと言い切ると、悪い…と紺野君に謝ってる。
私は信じられずにただ虚ろな感じでその声を聞き取り、ぎゅっと強くワイシャツを握りしめた。
「…だってさ、横山。しっかり聞いてたか」
あっけらかんとした紺野君の声が聞こえ、驚いたけど嬉しさも混ざり合って目が潤み始めた。
「良かったな。お前の気持ち、ちゃんと課長に届いてて…」
語尾が震えて聞こえ、紺野君の気持ちを考えると余計に言葉が出てこない。
無言でコクッと頷いたら、課長の背中に額が当たった。
そのまま温もりを感じて、頭を項垂れたままでいた。

