好きな人が現れても……

「どうしてこんな場所にいるんだ?誰かと待ち合わせか?」


問われて狼狽えると、コンビニの前にいた彼が立ち上がるのが見えた。 
そっちにも目線を配りながら、やはり課長が気になる。

吸い付くように視線が寄って行くのは彼の方で、やっぱりどんなに無駄だと言われても課長のことが好きだと思った。


首を傾げる課長のワイシャツを摘んだ。
握った指先に力を入れ、それを見つめる彼を見返した。



「……相川さんは?」


先ずはそれが一番最初だ。
どうして彼女達と会ってたのか。
それが疑問でならない。



「課長」


後ろから来た人が声を放った。
男性の声に振り向いた課長は、驚いたように「紺野」と呼ぶ。


まさかこんな形で三つ巴になるなんて思わず、私は二人の顔を見定めたままで立ち尽くした。




「……そうか。紺野と待ち合わせだったのか」


課長は勘違いをしたらしい。
タイミング良く紺野君が現れたのだから仕方ない。


「それじゃ俺はこれで」


まさか立ち去る?
私達は、はいとも言ってないのに?