好きな人が現れても……

顔を上げて彼女を見つめてた俺は、どうして、そこまで…?と聞き返した。

横山は一瞬呆れたように唇を開け、それから視線を逸らして呟いた。



「……課長が好きだから。ずっとそう言ってます…」


半分怒ったような声で話し、逸らしてた視線をこっちに向け直した。


「私…ホントに自分でも呆れるんです。昼間奥さんと間違われたのに、どうしてまだ課長のことを思うのか。

どうして嫌いになれないのか、自分でもよく分からないんです。

この片思いを手放すことが出来なくて、自分もやっぱり色々と切なかったりするのに、課長のことを思うと胸が弾んで…さっきみたいに真央ちゃんが笑ってくれると嬉しくて…

何も出来ない私だと思うけど、二人の側にいれたらいいな…って、そんな妄想ばかりが膨んでくるんです。

……課長には…とんでもなく迷惑だとは思うんですけど……」