好きな人が現れても……

真央は彼女の首に腕を巻き付け、「いい匂い〜」とウットリしてる。


「真央、もうそれくらいで…」


いい加減に横山を解放してやれ…と近付くと、横山の方が、大丈夫です…と言い返した。


「私にも姪っ子がいるので慣れてますから」


子供は好きです…と言い、マンションに向きを変えて歩み出す。



「えっ…?…横山さん……?」


背中に声をかけると彼女がチラッと振り向く。
そのままニコッと笑い、俺はその笑顔を凝視した。



「課長も歩いて下さい」


そう言い渡すと向きを戻して進み出す。


二人の姿を見ながら、何かに呼ばれる様にゆっくりと足先が前に進んで行った。