好きな人が現れても……

何があっても淡々と受け流し、そして、いつかは同期の紺野とーーー……



ズキン…と激しい胸の痛みを覚えた。


まさか、それをショックだと思ってはならない。
ごくごく自然で、ごく普通に当たり前のことではないか。


俺は子持ちの寡なんだ。
横山に選ばれる男ではないーーー。



そう認めると何だか体に力が入らなくなる。
まだ虚っているのだろうかと、いい加減イヤになってきそうだ。



(しっかりしろよ、真央に笑われるぞ)



俺は親なんだから子供に悩んだり落ち込んだりする姿は見せれない。


いつも堂々としてないと。
母親がいなくても平気なんだと見せていないと。


真央を不安にさせては父親失格だ。
そんなことをすれば、千恵にも顔向けが出来なくなるーーー。



項垂れて吐息をついた途端、左手を握ってた真央が走り出した。
指先が離れ、背中が遠くなっていく。


「真央!?」


唄ってた歌を途中で止め、大きな声を張り上げた。




「ハヅキちゃん!」



真っ直ぐとマンションの階段下にいる女性の元へと走り寄った。