真央の手を引いて実家から歩いて帰るところだった。
時刻はとっくに午後七時を回り、間もなく八時になろうとしている。
ようやく薄暗くなり、それでも蒸し暑さが残る街の中に、見慣れたマンションの明かりが見えだした。
壁を見上げて、今夜両親に話したことを思い出した。
『真央と一緒にそっちで生活をしてもいいだろうか?』
本来はもっと早くそうするべきだったのだが、俺が千恵に執着し過ぎてた。
両親は勿論いいと了解してくれた。
俺はゆっくりと引っ越しの準備を始めるよ…と言い、実家を出た。
これまでは真央と二人で居れば、何処からか千恵が戻って来るように感じていた。
実際は還りもしない人なのに、諦めずに待ってたところがあった。
しかし、彼女は手紙の中で俺に言った。
自分はもう二度と同じ世界に住めないのだから、いい加減に前を向いて歩いてよ……と。
その言葉を受け入れたくなくて、散々泣いて愚痴をこぼした。お陰で昼間のような醜態まで晒した。
俺は横山を千恵だと何処か錯覚していた。
最初はきちんと認識されていた様に思うがーー。
時刻はとっくに午後七時を回り、間もなく八時になろうとしている。
ようやく薄暗くなり、それでも蒸し暑さが残る街の中に、見慣れたマンションの明かりが見えだした。
壁を見上げて、今夜両親に話したことを思い出した。
『真央と一緒にそっちで生活をしてもいいだろうか?』
本来はもっと早くそうするべきだったのだが、俺が千恵に執着し過ぎてた。
両親は勿論いいと了解してくれた。
俺はゆっくりと引っ越しの準備を始めるよ…と言い、実家を出た。
これまでは真央と二人で居れば、何処からか千恵が戻って来るように感じていた。
実際は還りもしない人なのに、諦めずに待ってたところがあった。
しかし、彼女は手紙の中で俺に言った。
自分はもう二度と同じ世界に住めないのだから、いい加減に前を向いて歩いてよ……と。
その言葉を受け入れたくなくて、散々泣いて愚痴をこぼした。お陰で昼間のような醜態まで晒した。
俺は横山を千恵だと何処か錯覚していた。
最初はきちんと認識されていた様に思うがーー。

