「今日は一段と暑かったもんね。二人でなくても具合悪くなりそう」


お大事に…と言い残して更衣室を後にした。


今夜は営業部の彼とデートなんだろうか。
あれからずっと機嫌がいいからきっと上手くいってるのだろうと思う。


羨ましい杏梨ちゃん。
私も片想いの相手が課長でなければあんな風になれるの?


誰が見ても、幸せです…って振る舞える?
お裾分けしましょうか…って言わんばかりの笑顔を見せれるの?



……でも、私の恋はそんなのと違う。
苦しさがあって切ない気持ちが強い。


それでも、どうしても他の人ではダメだ。
他の人が現れても課長だけがいいなんて………。



(だったら課長に聞いてみる?何があったのか、教えて下さいって……)


大胆過ぎる仮想に思わず胸が鳴った。
昼間のことが思い出され、もしもあれ以上のことが起こったらどうするの?と自問した。



きちんと私だと認識した上でなら許せる。

課長に触れて貰いたい。

それは、私の長い間の夢でもあったから。


この間、課長には善意だと思ってくれたらいい…と言いながらも、それは綺麗事だと気付いてた。