激しく流れ出てくる涙に、ガクッと身体中の力が抜け落ちる。

これ程までに俺を泣かせるなんて、千恵……お前しかいないよ。



「どうして俺を独りにしたんだよ……千恵……」



呪っても恨んでも過去は戻って来ない。

二度と会えないからこそ、鳴らなくてもいいけどピアノを側に置いておきたかった。



「だけどお前はそれさえも売り捌けと言うのか。俺の気持ちなんて、どうでもいいと思うのか……」



恨み言を呟いて夜は更けた。


朝まで散々泣いて、泣き疲れたまま眠りについた……。