好きな人が現れても……

自分のことも考えて……。だけど、やっぱり行き着く先は一つだったんです。

課長のこと、好きだってことしか思い浮かばなくて、我ながらどうしてだろうって思うばかりで。

不器用で最後には嫌になってきたけど、やっぱりそれが自分なんだなって気付きました。

だから、課長にどんなに迷惑だと言われても、やっぱり好きしか残りません!

仕事を手伝うなと言われても、私が家まで押しかけてはいけないから手伝わせて下さい!

微力でもいいから役に立ちたい。
善意だと思ってくれたらいいんです。
見返りなんて、求めたりしませんから…!」


そう言うと階段を駆け下りだした。

唖然とする俺の耳の鼓膜に、カツカツと鳴り響くヒールの音だけが届いていた……。