好きな人が現れても……

この先もそれは変わらないし、例えば俺が今日少し早く帰ったからと言って、真央はすごく喜んだりもしない。

毎日同じペースでいいんだ。変化なんて俺も真央も求めてない。だから…」


強い気持ちで言い渡すのだ。

横山葉月には辛いと思うが。


「だから、有難いけど今後は君の気持ちは受け取れない。

横山さんのことを特別な目で見たりもしないと思うし、君も俺のことなんか思わずに、他の奴を好きになる方がいい。その方が幸せにも繋がる」


キッパリと言い切ったからと言って、それで満足したとは思えない。
横山は目の前で言われても、表情を変えずに俺を見ていた。



「……迷惑って意味ですか?」


聞き返す声は力強い感じがした。

迷惑ではない。確かに有難いと思う。
けれど…


「そうだな。どっちかと言うと迷惑だな」


悪いと思いながらもそう言った。

横山の眼差しが少し揺れ、「そ…ですか」と呟く。


泣き出すかと思ってハラハラした。
でも、横山は泣かずに俺のことを見返した。


「私……昨日あれから色々と考えました。課長のことも真央ちゃんのことも、亡くなった奥さんのことも全部。