「ざく切りの段階で少しくらい幅が広くなっても構いません。横に刃を入れる時も、一度でなく二、三度入れても大丈夫ですから」


課長の包丁使いを考慮して考えた。
エプロン姿はサマになってるけど、包丁の持ち方は危なっかしいから。


「ひろー!ガンバってー!」


運動会の応援みたいに励まされてる。
課長の家はいつもこんな風に真央ちゃんの歓声が上がっていそうだ。


緊張しながらキャベツとネギを切り終わり、お肉と混ぜた後、調理して包む段階になった。

ティースプーン一杯分の具を掬い、それをギョーザの皮の上に置く。その上に更に千切ったキャンディーチーズを乗せて包むだけ。
本当は皮も手作りしたいところだけど、時間短縮だから市販品。


「最初に周りに水を付けて半分に折ります。それから本来はヒダを作るんですけど、今日は真央ちゃんもいるのでこれで口を止めます」


フォークを見せて端を押さえると、課長が「これなら簡単」と喜んだ。


「たのしいね、ひろ」


真央ちゃんは課長よりもスジがいい。
手際良く具材を皮の上に置き、水を付けて折り畳んでる。