二つの布団をくっつけて、その真ん中で大の字になってぐっすり眠る美蘭。
「美蘭は寝相悪いな。
夜中はコロコロ転がってるし……
元気でお転婆で可愛くて。
それでも育てるって大変だよな!
子は親の思うようにはいかない。
だから、親も我慢の種を植え付けられて、自分の中で芽を育てたり、花を咲かせる。
その花は、一生掛けて育てるから、どんな花なのかは、まだ分からない。
俺も凜子も、親三年生だもん。
でもさ、生まれた美蘭には責任あるもんな。
この子が大人になるまでは、ちゃんと親しないとさ………その………凜子と二人なら出来る!」
「うん。そうだね。
ちゃんとしないと。
手術、受けるよ。
まだまだ、生きたいもん!」
「なぁ、凜子、俺も不思議な話、していい?」
「何?」
「さっき言った事、凜子が実家に帰った日に、お母さんが俺の夢枕に立って言ったんだ。
そういうのはあんまり信じない方なんだけど……
でも、何だか気になってさ……
不思議なんだけど、このままにしてはいけないって思った。
実際、凜子は大変な思いをしていたし、本当、鈍感にならなくて良かったよ」
『お母さん、いろんな所に現れますね。
心配させてごめんね』
「ねぇ、お母さんは、どんな花を咲かせたんだろうね?」
【リンリーンリーン………………】
風にそよぎ、風鈴が鳴る。
『フフフ。
今に分かるよ。
でも、秘密。
子育ては、親の数だけいろんな花があるから……』
そんな風に聞こえたよ。
END

