はーい。文化祭でーすね、もーすぐねー。

心の中で呟いた。恥ずかしい、からの棒読み。そして、同じ心情の我が盟友、葵もまた──。

「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい……」

と連呼していたのだった。

静まれぇぇぇ!………なーんちって。

俺達を殺す気なのかもしれんが、このクラス、クオリティ高すぎ。

美術部が二人しかいないはずなのに、油絵のようなリアルな背景。

借りてきて、CDを使えばいいのに、わざわざ録音してCDに焼くという二度手間をかけやがった、素晴らしい音源。

台本に書き込みまくりの研究しまくりの、心情を細やかに表現する照明。

コスプレ好きの奴らが作った、アイドルのような衣装。

重さまでリアルに再現された小道具たち。(鎖がそれなりに重いんだけど!?)

───うん、力入ってますね。
最後の文化祭だから、ということにしておこう。
それに、楽しいからな。

*****
そんな訳でリハーサルは本日も終了。
監督(先生)も表情から察するに、満足そう。

「よーし、お前ら!いよいよ明日だ。私は勿論、お前たちもよく頑張ってきた。明日は絶対成功させっぞ!」
「「おーー!!!!」」

熱くて人気のある、このクラスの担任はやはり盛り上げ上手で、あまり乗り気じゃなかった少数派もノリノリである。

いつのまにか明日に迫った文化祭。

ちょっと………楽しみ、かも。
****

全て同じ体育館でやる我らが文化祭。
全校生徒が集まったところで吹奏楽部がオープニングをかざり、合唱部の歌劇、美術部の影絵と続いた。
有志発表が数組、一・二年の発表も終了。次は三年……。

あ、俺達一組じゃんか………最初……!?

準備時間のアナウンスが入り、舞台袖へ移動。

急いで着替え、台本の最終確認をする。
ついに─────!

高鳴る心臓をよそに、時間を迎えた。