その時。


「光璃〜」



例の男が。




「教室には来ないでって頼んだのに!てか光璃ってみんながいるのに呼ばないで!」




「二人きりだったらいいの?」



「そうじゃなくて〜〜!」




ダメだ、論点がずれてる気がする。




「あ、そうだ。」



「ん?」



「今週の日曜日空いてる?」




「うーん、空いてな…んんっ!」



''空いてない、ごめん''



の言葉を紡ごうとした時、口を塞がれた。




「んんっ!んー!!んん!

ぷはっ…はぁ…はぁ。何すんのよ結梨奈!」




「私との約束なんていつでもいいじゃない?」



「はい?」




「要くんと遊んできなってこと!」




「ほぇ?」



「なに?先約あり?」



「ないない!ないです〜!」



「そう、じゃあ光璃、寝よう〜」



それを聞いた周りの女子たちは騒ぎ出した。



そうなるよね。



だって、要くんのいう「ネル」と女子達の思う「ネル」は意味が違うもん。



もはや説明するのがめんどくさくなった。


「なんで?いつも寝てるじゃん。」



あ、しまった。

と思った。



いつも寝てるみたいな言い方になってしまった。



まぁいいや。




すると要くんは困ったように笑って



「夜、寝てみようと思って。」




「そっか。」