差し出された手をぎゅっとつかむ。
少しひんやりとしたその手は、私を力強く握り返した。


広がる夜景と満天の星空。

山を越えた都会の夜景が、星の海のように見える。


「わあ……」


無意識に感嘆の声をあげてしまうほど、想像していたより遥かに圧巻だった。


その景色を、隣でまっすぐに見つめている先生。
どれだけ星が美しくても、夜景が輝いていても、手が解けることはない。

ぎゅ……と力をこめると、先生が振り向いた。


「……先生、私、ここに来てよかった」

私のつぶやきに、先生が頷く。

「ここで夜景を見るのははじめてなんだけど……先生と、ここに来れて、このはじめての感動を、先生と感じられて、先生と見れて、よかった」


クサいよね。
言ってる私も恥ずかしいもん。

でも、本心だから……。

今、この瞬間に思ったことを、一番伝えたい人に伝えておく。