それからその女性は、週に1、2回お店に来ては奥のテーブルに座りミルクティーを注文してはバッグから本を取り出して読んでいる。

朝比奈「最近、よくこのお店に来てくれますね。ありがとうございます。」

私は女性に話しかけた。

「ここのお店、なんか凄く落ち着くんです。」

朝比奈「それは嬉しいなあ。」

「すみません。いつもあまり注文せず長居してしまって。」

朝比奈「いえいえ。御覧の通り、お客さんも居ない店で立ち寄ってくれる方がおられて嬉しいですよ。」

「ありがとうございます。」

彼女は笑顔を見せて微笑んだ。

香織「マスター。こんちわ~」

声をするドアの方を向くと香織と舞が入ってきた。

朝比奈「あれ?今日は二人か?典子はどうした?」

舞「典子は今日ね、居残り勉強らしいんだ。」

香織「でも、終わったらここに来る予定になってるんだ。」

そう言いながら香織は私の近くまでニヤけた顔をしながら寄ってきた。

香織「ねぇマスター、あの奥に座ってる人、可愛いね。」

朝比奈「そ、そうだね。」

香織「あれ?もしかしてマスターの好きなタイプだったり?」

朝比奈「な、何を言ってるんだ。大人をからかうもんじゃない。」

でも、香織に言われたことに何故か同情していた。