すっと指先から重みが消えて、再び足音が鳴り出した。 更に奥に進んでいるのか、あたしから遠ざかっていく。 男の方をチラリと見ると、男は周りを汚いものを見るような目で見渡した後、ふんっと鼻で笑って入り口へと向かった。 がちゃりと鍵を閉めるような音がして、足音は遠ざかっていき、とうとう聞こえなくなった。 どうやら助かったようだ。 あたしは深く安堵の溜め息をついた。