「って、誰がつむつむだよ……」
確かに、つむぎ→つむ→つむつむになるけどね?
どこかのラ○ンゲームじゃないか。
紗彩のセンスの無さを痛感してしまった。
紗彩のあだ名は今日からやさやさだ。
とりあえず今日の部活動はこれで終わりなので帰ろう。
椅子をゆっくり引いてゆっくり立つ。
乙女の恥じらいを持たないとね。
突然、ビビッときた。
「あっっ!! あの子って……っ!!」
私が教室でハッスルしていた時に覗かれた男の子。
「同じクラスの江坂瑞希(えさかみずき)君だ!!」
確かにおかしな話だ。
校舎の一番端っこにある私のクラスに他のクラスの人が来ること自体が、だ。
影が薄くて気付かなかった。
いや、失礼だけどほんとに気付かなかった。
明日学校で謝るしかない。
いや? でも、江坂くんは私が気づいてない事に勘づいてないよね?
「よし、何も無かったことにしよう。私は何も見てないぞ!」
そう言って私は教室を出た。
鍵を閉め、職員室に鍵を返し、そのまま校門を出て家へ帰る。
明日の事は何も考えない。
『その日のことはその日に。明日の事は明日に。』が私の家族、南雲家の家訓なのだ!
よく「てきとーな家訓だな」と言われるけど、生まれた時からこれをモットーに生きているからこれが普通なのだ。
ビバ! その時になったら考える精神!
何やらニヤニヤして歩いている私を見た通行人達は、
「何この子おかしいんじゃない?」という可愛そうな目を向けていたが、その時の私は知る由もなかった。
