それからなんだかんだ1週間。今日は金曜日。
学校生活は順調だ。
未だに海斗とは一回も話せていない。
同じクラスでもめちゃくちゃ遠い存在のよう……
昔はあんなに仲良かったのになぁ。
ズキズキと痛む胸を押さえる。
私は海斗が好き。
小さい頃からずっと……
同年代の友達がなかなかできなかった私にとって海斗は唯一の存在。
幼なじみであり、家族であり、親友であった。
ずっと仲良く出来ると思ってたのに…
そんなことを考えながら帰路についていると
「あら?由佳ちゃん?」
「…え?」
振り向くと海斗のお母さんである、雅子(まさこ)おばさんがいた。
「あ!雅子おばさん!お久しぶりです」
「久しぶりね~、元気にしてた?」
雅子おばさんはとっても優しくて私は小さい頃から大好きだった。
それから少し世間話をし、私のこれからの私の予定がないことを知ると「久しぶりに家にこない?」と誘ってくれた。
家に電話をし、遅くなると伝えお言葉に甘えて雅子さん家におじゃますることにした。
「さぁ!上がって上がって」
「おじゃましまーす」
来る途中に思い出した。
雅子おばさんの家ってことは、海斗の家だよね!?
にも考えずに来ちゃったけど鉢合わせとかありませんように!!
幸い、家には誰もいなく静まり返っていた。
ふ~、一安心。
「適当に座ってて、今お茶入れるわね」
「あ、雅子おばさんありがとう」
ソファに座らせてもらいあたりを見回す。
最後に来たのは中学2年生の時だっけ。
雅子おばさんも家も、変わっていなくて安心した。
「はいどうぞ~、紅茶でいいかしら?」
「うん!ありがとう」
紅茶を一口飲むと心が安らぐ。
「はぁ、美味しい」
「ふふ、ありがとう。それでね由佳ちゃん」
「雅子おばさん、どうかした?」
なぜか急に、言いにくそうに言葉を濁していた。
どうしたんだろう?
「あのね、海斗学校でどうかなと思って」
「海斗?」
「えぇ、あの子上手くやっていけてるか心配だったのよ。学校の話とか全然しないから」
でも今年は由佳ちゃんと同じクラスだって聞いてね。気になっちゃった。
まさかの海斗の話で紅茶を吹き出しそうになった。
危ない危ない。
しかも海斗、私のこと話したの?
あの時すぐ目をそらされて正直少し傷ついた。
でも、話題に出してもらえたことに嬉しくなる。
おばさんやっぱり海斗の事が心配なんだなぁ。
こんなに想われて、幸せ者じゃん。
「んー、そうだな。まだ1週間しか経ってないから細かくは分からないけど」
そこから私は、普通に上手くやっていること。翔(しょう)くんっていう友達がいること。
おばさんが安心できるようにと話していた。
おばさんも嬉しそうに、ホットしたように聞いていた。
「そうだったのね。なら安心だわ」
「うん。案外楽しそうだから大丈夫だと思うよ!」
そんな話をしていたら、玄関のドアが開き誰かが入ってくる気配を感じた。
え、まさか……海斗!?
予感は的中、そのまさか。
海斗が帰ってきた。
「あら、海斗おかえり」
「おう、誰か来てんのか?」
「由佳ちゃんが来てるわよ。久しぶりよねぇ。海斗、あんたも会っていけば?」
こちらに向かって足音が聞こえてくるほど、ドキドキと私の心臓の鼓動も早くなる。
扉が開き海斗が入ってきた。
「…あ、おじゃましてます」
「……おう」
しばらく間が開き海斗が返事をした。
なんか、挙動不審?そんなに私と話すの嫌だったかな?
ズブズブと思考が悪い方向へ沈んでいく。
「おばさん、私そろそろ帰ろうかな。今日は会えて良かった」
「もうこんな時間ね。ごめんなさいね、長い間引き止めちゃって」
ほら、海斗。送ってってあげなさい。
そんな言葉が聞こえ焦る。
「え、大丈夫だよ!近いしひとりで帰れるから」
そう言って間にも海斗はほら、行くぞ。と玄関へ歩き出した。
え…。海斗の事だから面倒臭いとかいうと思ってたのに。
そう思いつつもおばさんにお礼を言って海斗のあとを追う。
………………。
無言。気まずいよ~
家を出てから、一言も言葉を発していない私たちの間は気まずい空気だ。
このままじゃまずい。
「か、海斗。なんかごめんね、帰ってたばっかりなのに」
「いや、別に」
必死の思いで話しかけたのに、帰ってきたのはたったそれだけ。
やばい心折られそう……
私がひとりで落ち込んでいると、隣からため息が聞こえ頭をガシガシと掻いている海斗がいた。
「あー、わりぃ。」
「……え?」
突然の謝罪にわけも分からずにいると、観念したのか話しずらそうに、でも私からは驚く言葉を言ってのけた。
「なんつーか、照れくさかったんだよ。お前と会ったの久々だし、どう反応していいかわからなかった。」
それって…この前の学校でのこと?それとも、さっきの…?
ううん、どっちでもいい。
海斗が私を嫌いなわけじゃなかった。話したくないわけじゃなかった。
それが分かっただけで充分だよ。
嬉しいような照れくさいような、とんな気持ちが溢れ出す。
「…私も。いろいろ考えちゃって話しかけられなかった。」
私も本音を吐き出すと、海斗は驚いた顔をしながらも笑って
なんだよ、結局どっちも同じだったんじゃねぇか。
と呟いた。
家に着き、改めてお礼を言う。
「海斗、送ってくれてありがとう」
「おう、じゃあな」
去っていく背中を見送っていると、急に振り向き
「今更かも知んねぇけどよ、これから2年間宜しくな」
といい、歩き出した。
私は海斗との距離が昔みたいに戻った気がしてすごく嬉しかった。
「こちらこそ、宜しくね」
もう随分遠くへ行ってしまった背中に言葉をかけた。
その日は、今日あった事が奇跡的すぎて、嬉しくて、なかなか寝付けなかった。
学校生活は順調だ。
未だに海斗とは一回も話せていない。
同じクラスでもめちゃくちゃ遠い存在のよう……
昔はあんなに仲良かったのになぁ。
ズキズキと痛む胸を押さえる。
私は海斗が好き。
小さい頃からずっと……
同年代の友達がなかなかできなかった私にとって海斗は唯一の存在。
幼なじみであり、家族であり、親友であった。
ずっと仲良く出来ると思ってたのに…
そんなことを考えながら帰路についていると
「あら?由佳ちゃん?」
「…え?」
振り向くと海斗のお母さんである、雅子(まさこ)おばさんがいた。
「あ!雅子おばさん!お久しぶりです」
「久しぶりね~、元気にしてた?」
雅子おばさんはとっても優しくて私は小さい頃から大好きだった。
それから少し世間話をし、私のこれからの私の予定がないことを知ると「久しぶりに家にこない?」と誘ってくれた。
家に電話をし、遅くなると伝えお言葉に甘えて雅子さん家におじゃますることにした。
「さぁ!上がって上がって」
「おじゃましまーす」
来る途中に思い出した。
雅子おばさんの家ってことは、海斗の家だよね!?
にも考えずに来ちゃったけど鉢合わせとかありませんように!!
幸い、家には誰もいなく静まり返っていた。
ふ~、一安心。
「適当に座ってて、今お茶入れるわね」
「あ、雅子おばさんありがとう」
ソファに座らせてもらいあたりを見回す。
最後に来たのは中学2年生の時だっけ。
雅子おばさんも家も、変わっていなくて安心した。
「はいどうぞ~、紅茶でいいかしら?」
「うん!ありがとう」
紅茶を一口飲むと心が安らぐ。
「はぁ、美味しい」
「ふふ、ありがとう。それでね由佳ちゃん」
「雅子おばさん、どうかした?」
なぜか急に、言いにくそうに言葉を濁していた。
どうしたんだろう?
「あのね、海斗学校でどうかなと思って」
「海斗?」
「えぇ、あの子上手くやっていけてるか心配だったのよ。学校の話とか全然しないから」
でも今年は由佳ちゃんと同じクラスだって聞いてね。気になっちゃった。
まさかの海斗の話で紅茶を吹き出しそうになった。
危ない危ない。
しかも海斗、私のこと話したの?
あの時すぐ目をそらされて正直少し傷ついた。
でも、話題に出してもらえたことに嬉しくなる。
おばさんやっぱり海斗の事が心配なんだなぁ。
こんなに想われて、幸せ者じゃん。
「んー、そうだな。まだ1週間しか経ってないから細かくは分からないけど」
そこから私は、普通に上手くやっていること。翔(しょう)くんっていう友達がいること。
おばさんが安心できるようにと話していた。
おばさんも嬉しそうに、ホットしたように聞いていた。
「そうだったのね。なら安心だわ」
「うん。案外楽しそうだから大丈夫だと思うよ!」
そんな話をしていたら、玄関のドアが開き誰かが入ってくる気配を感じた。
え、まさか……海斗!?
予感は的中、そのまさか。
海斗が帰ってきた。
「あら、海斗おかえり」
「おう、誰か来てんのか?」
「由佳ちゃんが来てるわよ。久しぶりよねぇ。海斗、あんたも会っていけば?」
こちらに向かって足音が聞こえてくるほど、ドキドキと私の心臓の鼓動も早くなる。
扉が開き海斗が入ってきた。
「…あ、おじゃましてます」
「……おう」
しばらく間が開き海斗が返事をした。
なんか、挙動不審?そんなに私と話すの嫌だったかな?
ズブズブと思考が悪い方向へ沈んでいく。
「おばさん、私そろそろ帰ろうかな。今日は会えて良かった」
「もうこんな時間ね。ごめんなさいね、長い間引き止めちゃって」
ほら、海斗。送ってってあげなさい。
そんな言葉が聞こえ焦る。
「え、大丈夫だよ!近いしひとりで帰れるから」
そう言って間にも海斗はほら、行くぞ。と玄関へ歩き出した。
え…。海斗の事だから面倒臭いとかいうと思ってたのに。
そう思いつつもおばさんにお礼を言って海斗のあとを追う。
………………。
無言。気まずいよ~
家を出てから、一言も言葉を発していない私たちの間は気まずい空気だ。
このままじゃまずい。
「か、海斗。なんかごめんね、帰ってたばっかりなのに」
「いや、別に」
必死の思いで話しかけたのに、帰ってきたのはたったそれだけ。
やばい心折られそう……
私がひとりで落ち込んでいると、隣からため息が聞こえ頭をガシガシと掻いている海斗がいた。
「あー、わりぃ。」
「……え?」
突然の謝罪にわけも分からずにいると、観念したのか話しずらそうに、でも私からは驚く言葉を言ってのけた。
「なんつーか、照れくさかったんだよ。お前と会ったの久々だし、どう反応していいかわからなかった。」
それって…この前の学校でのこと?それとも、さっきの…?
ううん、どっちでもいい。
海斗が私を嫌いなわけじゃなかった。話したくないわけじゃなかった。
それが分かっただけで充分だよ。
嬉しいような照れくさいような、とんな気持ちが溢れ出す。
「…私も。いろいろ考えちゃって話しかけられなかった。」
私も本音を吐き出すと、海斗は驚いた顔をしながらも笑って
なんだよ、結局どっちも同じだったんじゃねぇか。
と呟いた。
家に着き、改めてお礼を言う。
「海斗、送ってくれてありがとう」
「おう、じゃあな」
去っていく背中を見送っていると、急に振り向き
「今更かも知んねぇけどよ、これから2年間宜しくな」
といい、歩き出した。
私は海斗との距離が昔みたいに戻った気がしてすごく嬉しかった。
「こちらこそ、宜しくね」
もう随分遠くへ行ってしまった背中に言葉をかけた。
その日は、今日あった事が奇跡的すぎて、嬉しくて、なかなか寝付けなかった。