外観は普通の……いや、失礼。一目見て豪華だと分かる校舎。

全然普通じゃない。

洋風の建築物をイメージして造られたのか石畳の床に何故か噴水まである。

校舎の裏には自然豊かな森が広がっていて日光浴とかに良さそうだ。

誰も天下の不良校だとは思うまい。

俺も初めて見たときはどんな金持ち学校だと自分の目を疑った。

まぁ、実際は只の見てくれだが。

校内も普通に綺麗だ。

落書きとかゴミとか一切無くて逆に不気味すぎる程に静か。

不良共が皆真面目に授業受けてんのか?

それはそれで結構なことだが。

キョロキョロ歩いていると職員室とプレートが掛かっているドアの前に着いた。

コンコン

「失礼しまーす。転校生の中城冬馬です。担任の桜坂知恵先生はいますか」

ガヤガヤと騒がしかった職員室が一気に静まり返る。

な、なんだ?俺なにかまずいこと言ったか?

余りの居心地の悪さに自分の足下をガン見していると、メガネを掛けた頼り無さそうな男性が近寄ってきた。

「………あ~君、転校生?今日転校してくる人なんて居たかな?聞いてないんだけど」

「はい?」

いやいや、そんなはずは無い。

ちゃんと転入手続きは済ませたはずだ。

俺も目の前の男もお互いに気まずくて困っていたら、若い女の教師が声を上げた。

「あー!君、特別科の生徒さんじゃない?確か今日転校生が来るって話があったような………」

え?

ここ、特別科じゃないの?

「あ、あの。門から真っ直ぐ行けば特別科の校舎だって教わったんですけど」

「あ~、じゃあ教えた人が間違ったのね。特別科の校舎は複雑で分かりづらいのよ。いいわ。私が案内します」

そう言ってその職員が立ち上がった。